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201.親知らずの移植!歯周病の歯を救え!

今回は親知らずの移植治療についてです。

※患者さんの許可を得てアップしています。

⑧が親しらずです。この⑧のせいで⑦が歯周病に罹患し、12mmの歯周ポケットができてしまいました。その結果、⑦の奥側の骨(歯槽骨)は吸収しています。

その原因は親知らずの生え方によります。親知らずが斜めに生えてしまったせいで、⑦の奥側にプラークが溜まって歯周炎を引き起こしてしまっているのです。

この場合、⑧を抜歯しても⑦の奥側の骨は吸収したままになり、⑦も⑧も共倒れになることが予想されました。

そこで、⑦を抜歯して⑧(親知らず)を移植する計画にしました。

移植直後の写真です。

 

移植後2年以上経過した写真です。

赤の矢印部分に骨が再生していることが確認できます。

 

なぜ骨が吸収してしまった部分に骨が再生するのでしょうか。それは、移植した親知らずの周りに厚さ30ミクロンの薄い歯根膜という組織があります。それが下写真です。赤くなっている部分が歯根膜です。ここに「歯根膜細胞」があります。歯根膜細胞は骨芽細胞という細胞に分化して、周囲に骨を再生させるのです。

 

この歯根膜があるからこそ失われた骨が再生するのです。

下は模式図です。

 

今回も親知らずの移植ですから保険診療で行いました。親知らずを抜く前に、ご相談下さい!大事な親知らずかもしれません。

 

日本歯周病学会 歯周病専門医

日本補綴歯科学会 専門医

渡辺歯科医院

200.歯茎の移植の解説(難しい内容!)

難しい内容です。

「動かない歯茎(角化歯肉)」VS「動く歯茎(歯槽粘膜)」

歯の周囲には「動かない歯茎(角化歯肉)」の存在が歯周組織の健康維持のために有益と考えられています。

前回紹介した遊離歯肉移植術は、「動かない歯茎(角化歯肉)」「動く歯茎(歯槽粘膜)」へ移植し、「動く歯茎(歯槽粘膜)」「動かない歯茎(角化歯肉)」に変えてしまう治療です。

下図は「動かない歯茎(角化歯肉)」の模式図です。結合組織に「コラーゲン線維」があるから遺伝的に上皮は「角化」します。コラーゲン線維があることで「動かない歯茎」ができる上に、感染や外的刺激に強い「角化上皮」ができます。

 

それでは、①動かない歯茎(角化歯肉)の上皮―結合組織を一体にした組織を「動く歯茎」に移植した場合と(下図の上)、②動かない歯茎(角化歯肉)の上皮のみを「動く歯茎」に移植した場合(下図の下)では一体どうなるのか?

 

①の場合は、移植されたことで動く歯茎動かない歯茎に変化しますが、②の場合は、動く歯茎動く歯茎のままになり変化は見られません。このことで上皮が角化するか、角化しないかは、「上皮下の結合組織」が決めていることになるのです。

組織学的にはこのような解説になります。

下写真のように動く歯茎動かない歯茎に変化しているのは、組織学的には上記の説明になるわけです。

 

日本歯周病学会 歯周病専門医

日本補綴歯科学会 専門医

渡辺歯科医院

 

 

199.歯茎の移植

今回は「動く歯茎(歯槽粘膜)」しかない部分に「動かない歯茎(角化歯肉)」を移植したケースです。

術前写真は金属冠の周りに「動く歯茎」しかないため、患者さん自身によるブラッシングが困難であったため、「動かない歯茎」を口蓋から移植しています。

これにより歯の周囲の歯茎は動かなくなり、ブラッシングが容易になります。

 

以前紹介した内容を下記に説明します。

「動かない歯茎」と「動く歯茎」についてのお話です。「動かない歯茎」のことを「付着歯肉」といいます。

歯の周囲には「動かない歯茎」が必要最低限あった方が、歯周組織は安定しやすいことが多いと私は考えています。

左下写真をヨードで染色すると右下写真になります。


色が淡い部分と濃い部分に分けられます。

淡い部分が角化歯肉、濃い部分が歯槽粘膜といいます。

それぞれの特徴は、角化歯肉は上皮部分に角質層を有し、歯槽粘膜は上皮部分に角質層がありません。


上皮下の結合組織(上皮の下にある土台となる組織)は、角化歯肉はコラーゲン線維を有した緻密な結合組織、歯槽粘膜は弾性線維を有した疎性結合組織になります。簡単にいえば、角化歯肉は表層が硬く動かない、歯槽粘膜は表層が硬くなく動くという特徴があります。


 

現在角化歯肉の有無による影響について見解が分かれており、必要または不必要で様々な諸説があります。

1972年に発表されたLang and Löeの論文では、2mmの角化歯肉(そのうち1ミリの付着歯肉)が存在すれば、歯周組織の80%は健康が維持されたと報告しました。

The relationship between the width of keratinized gingiva and gingival health.

J Periodontol. 1972 Oct;43(10):623-7.

 

角化歯肉(付着歯肉)が無くても歯周組織の健康が維持される場合もありますが、角化歯肉が必要最低限あった方が有利な場面も多いのです。

こんな論文もあります。

James E. Kennedyらが発表した論文です。遊離歯肉移植術を行ったグループと行わなかったグループで、6年後に歯周組織の状態を評価しています。メインテナンスにきちんと患者さんが来られる場合は、どちらも問題はなかったが、メインテナンスに来られなくなったグループでは遊離歯肉移植術を行わなかったグループで有意に歯肉退縮(歯茎の痩せ)が見られたと報告しています。

A longitudinal evaluation of varying widths of attached gingiva

J Clin Periodontol. 1985 Sep;12(8):667-75.

 

角化歯肉は「無いよりはあったほうが安心」といえるかもしれません。いつも考えることですが、今は良くても高齢になると歯間ブラシや歯ブラシによるブラッシングも困難になります。出来るだけ有利な状況を早いうちに作れるものであれば作った方がメインテナンスも行いやすいし、トラブルが起きた時の対応も簡単に済みます。

歯茎の移植は保険診療で行えます。

歯茎のトラブルがあればご相談ください。

 

日本歯周病学会 歯周病専門医

日本補綴歯科学会 専門医

渡辺歯科医院

 

 

198.歯周外科療法(再生外科療法)

最後臼歯(一番奥の歯)が歯周病に罹患しています。

下の写真は歯周ポケットの深さを示します。5~6mmの部位は歯周ポケットが存在します。2~3mmの部位は問題ありません。

 

歯周ポケットの検査(歯周病検査)を参考にしてください。下図のように場所によって深さが異なる場合の方が多いです。1~3mmは正常値ですので問題ありません。

 

歯周外科療法の中の再生外科療法を選択しました。一番奥歯の奥の面は歯茎の厚みがあり、再生外科療法に適しています。

 

 

①は歯茎を切開して開いた状態。青線の部分に歯周病による骨吸収が確認できます。

②は根の表面の清掃を行った後に、採取した骨(緑矢印)を移植した状態です。

③は骨移植が終了後にGTR膜を置いた状態。

④は縫合した状態です。

 

再生外科療法の模式図です。

 

骨吸収が起きた部位に骨移植やGTR法を行うことで、失われた歯周組織が再生することを狙っています。

 

色々な外科療法も、もちろん外科療法を行わない方法もあります。外科療法を行わない場合でも顕著な骨再生が見られる場合もあります。

またご相談ください。

日本歯周病学会 歯周病専門医

日本補綴歯科学会 専門医

渡辺歯科医院

 

 

197.抜歯した歯!

下写真は抜歯した歯です。

①②③は苦労して抜いた親知らずです。これだけ歯根が湾曲していると抜歯はかなり困難です。歯は歯を支えている骨から抜歯するわけですが、歯の方が硬くて骨の方が軟らかい(各々が違う硬さ)ので抜歯できるのだろうなとつくづく実感します。

④は重度の歯周病で抜歯した歯です。歯肉縁下歯石が根の先まで何層も付いています。これが歯槽骨を溶かしてしまう歯石です。歯茎の中についている歯石は「歯肉縁下歯石」といいます。歯周病菌の内毒素がたっぷり付着しています。

早い段階でこの歯石を取っておけば、この歯の運命も変わったはずです。

歯周病は早期発見、早期治療が大事です。

またご相談ください。

 

日本歯周病学会 歯周病専門医

日本補綴歯科学会 専門医

渡辺歯科医院

196.痩せた歯茎の再生

今回は痩せた歯茎の再生がテーマです。

歯茎(歯肉)の移植を行いました。

体に侵襲が少ない「非外科療法」や、薬で歯周病を治す?「歯周内科」という言葉も最近よく耳にしますが、「外科療法」でなければ解決しないことも沢山ありますし、それが「悪」とも思いません。外科療法は大変だなぁと思われがちですが、手際よく、短時間で行えば大して侵襲が大きいとも思いません。将来を見据えた確実な治療が一番大事なことと思います。

さて、歯肉の移植(外科療法;保険診療)です。手術時間は30分程度です。左が術前、右が術後6カ月。この後、さらに歯肉は成熟していくことが予想されます。痩せていた歯茎に厚みができて、治ってきているのがわかります。

 

今回はエンベロープ法を用いて行っています。歯肉を袋状に切開して、そこに口蓋より採取た歯肉を移植しています。

以前は切開を縦に入れ歯肉を開いて移植していましたが、手術時間を短縮し、外科的侵襲を少なくするためにエンベロープ法を用いています。

このような治療も可能ですので歯茎が下がってお困りの方、ご相談ください。

私は、大学の学生時代から、大学附属病院(神奈川歯科大学附属病院)の医局員になって退職するまで、多くの先生に様々な方面から専門治療をご教授いただきました。

歯周病治療、補綴(入れ歯、咬み合わせ)、接着、、、、。学生さんの基礎実習で教えたり、授業をしたり、病院実習の指導医をしたり、、、基礎的なことを伝えているうちに自分の勉強にもなりました。

大学附属病院には、歯周病治療、入れ歯、歯の接着、、、各々の科に凄い先生たちがいて、毎日が刺激的でしたし本当にいろんな先生(教授、先輩の先生、同級生、後輩)にお世話になりました。そこで得た力をフルに発揮して富山(小矢部)でやっています。大学病院でやってきたことと異なることをやれば、私に熱心に教えていただいた先生方に失礼になります。

私の歯科医院は、素晴らしい歯科衛生士さんと技工士さんと共に日々の診療を行っています。

これからもフルパワーで診療していきます。

 

日本歯周病学会 歯周病専門医

日本補綴歯科学会 専門医

渡辺歯科医院

195.歯の移植

歯の移植を行った症例です。

術前写真です。(右写真は解説)

青の線が歯根で、オレンジの線が歯槽骨(歯を支える骨)を示します。この歯は3本の歯根がありますが、分離しているうえに支えている骨も喪失してしまっています。そこで、この歯を抜歯して下の歯を移植することにしました。

 

 

写真は下の歯(ドナーになる歯)です。青の歯が重なっており抜歯適応のため、この歯を抜歯して上の歯のドナーにすることにしました。

 

下の写真は、移植後に根管治療と支台築造(土台)をおこない、数カ月が経過したものです。青の線が歯根の形態で、オレンジの線が歯槽骨(歯を支える骨)です。骨の中に歯根が埋まっている状態が確認できます。

 

この後、前後の歯と固定して補綴治療(被せもの)を行っていきます。不要な歯がある場合、ドナーになる可能性もあります。

歯の移植の相談などありましたらお問い合わせください。

 

日本歯周病学会 歯周病専門医

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194.日本歯周病学会 学会発表

10月の歯周病学会で武村先生が発表されました。

私も共同演者として参加させていただきました。

その発表内容の一部です。

術前写真です。

青矢印が骨吸収している部分です。

 

フラップ手術後の状態です。

 

骨再生が確認できます。

 

武村先生(左)と私(右)

 

恩師の杉山貴志先生(大船駅北口歯科)の講演(下写真)もありました。大学時代の恩師の先生です。今現在、私が歯周病治療に取り組んでいるのは杉山先生の存在があったからです。恩師の先生の存在は何年経ってもありがたいものです。

 

学会は治療の基準を決める上でとても重要です。

学会が無ければ各々の分野の治療の基準ができないからです。

 

歯周病でお困りの方がいましたらご相談ください。

 

日本歯周病学会 歯周病専門医

渡辺歯科医院

193.インプラントのための骨造り(GBR法)

今回はインプラント治療のご紹介です。

下写真はインプラント埋入手術を行っています。青矢印が「歯槽骨(骨)」で、その幅の中にインプラントを埋入しなければなりません。ピンク矢印がインプラントです。しかしながら、骨幅が足りなかったため、オレンジ矢印部分のインプラントが露出してしまいました。

 

このような場合、インプラントの周りに骨を造る必要があります。

下の写真はGBR法(インプラント埋入と同時)を行っています。吸収性のコラーゲンメンブレン(吸収性のコラーゲン膜)を露出したインプラントの外側に置き、骨造成を行いました。

GBRはHPを参照してください。

下写真は数カ月後です。

 

オレンジ矢印の部分に骨造成が確認できました。今回はインプラント埋入と同時に行いましたが、インプラント埋入前に前処置として先にGBR法を行う場合もあります。

 

インプラントはメインテナンスがとても重要になります。

プラークコントロールが確立している患者さんに行っています。

またご相談ください。

 

日本歯周病学会 歯周病専門医

日本補綴歯科学会 専門医

渡辺歯科医院

 

192.根分岐部(根と根の間)の歯周病?

今回は根分岐部の歯周病?というケースです。

下の奥歯は根が通常2本あります。その2本の根の間(根分岐部)から膿が出ていたケースです。

レントゲン写真です。

※上下のレントゲン写真は同じです。(下は解説写真)

術前写真の黄色点線部分に囲まれた部分が膿(エックス線透過像=骨が吸収している)です。考えられる原因として、①歯周病②感染根管のいずれかが有力です。

以前に神経を取っている歯ですので、②感染根管も疑われます。つまり、根管内(歯の根の中)が細菌感染して、それが根分岐部に波及して膿が出てきている可能性があります。

根分岐部に歯周ポケットが存在する場合、①歯周病、②感染根管、③歯周病と感染根管の混合感染が考えられます。

今回は、先ず根管治療を行い、歯周病治療は行いませんでした。

半年後のレントゲン写真です。黄色矢印部分の膿が改善され、骨が再生しています。つまり、今回は根管由来の細菌が原因で根分岐部(根と根の間)に膿が出ていたと考えられました。

歯茎から膿が出ている場合、歯周病だけが原因ではないこともあります。今回みたいに感染根管が原因で膿が出てきている場合もあるのです。

当院ではマイクロスコープで根管治療を行っています。根管内を8~24倍で見ながら根管治療が可能です。保険診療で行っていますので、今回のような症状でお悩みの方は御相談ください。

今回は上手く治癒しましたが、根管治療は非常に難しい治療です。できるだけ神経を取らないように予防することが大事です。

日本歯周病学会 歯周病専門医

渡辺歯科医院