月別アーカイブ: 5月 2015

117.メインテナンスの重要性!

 

小学館ブログサイト、坂本正敬さんの取材で記事になりました。

以下、リンクします。

 

知らない間にリスク4倍!? 歯科医が教える「歯科検診」の重要性とは

 

記事のように歯周病治療の鍵は動的治療後のメインテナンスにあると考えています。深い歯周ポケットが改善したとします。でも、それは「治癒」ではなく、「病状安定」と考えます。油断すると、また歯周ポケットが再発してしまうからです。「治った!もう歯医者は終わり!」と考えることが危険なのです。

当院では、歯周病治療を分りやすく理解していただくために、患者さんに配布する資料(下図)も作成しました。「検査」「診断」「歯茎より上の見えている部分の除菌=8割は患者さんの仕事」「歯茎の中の見えない部分の除菌=10割が歯科医院の仕事」「歯周外科療法」「メインテナンス」とステージに分かれています。


 

患者さんによっては、「歯ブラシ指導ばかりで治療が進まない」と言われる方もいらっしゃいます。まずは痛みをとる、腫れを引かせるなどの緊急な症状の改善を行うことは重要です。

しかしながら、歯周病にしても虫歯にしても原因は「プラーク」=「細菌の塊」なのです。どんなに歯周病治療を進めても、どんなに削って被せても、そこに多量のプラークが付着していては歯周病は治らないし直ぐに虫歯になってしまうでしょう。

患者さんにはプラークコントロールの重要性を理解していただけるように今後とも努力していきます。

 

渡辺歯科医院

日本歯周病学会 歯周病専門医

116.「動く歯茎」を「動かない歯茎」へ!

このブログによく登場する「動く歯茎」と「動かない歯茎」の話です。歯の周りには「動かない歯茎」が十分あった方が、歯周病治療をおこなっていく上で有利なことが多いと考えています。

今回は、ブリッジを入れる前に歯の周囲に「動かない歯茎」を移動する手術を行いました。

 

下写真のオレンジは、「動く歯茎」と「動かない歯茎」の境界線です。「動かない歯茎」が無く、「動く歯茎」が歯の周りを覆っています。

付着歯肉狭少

 

そこで、下写真のように青線部分の「動かない歯茎」を、緑線部分へ移動して歯の周囲(頬側)に「動かない歯茎」を形成する計画としました。


 

移動が終了して縫合後の写真です。移動した部分にはテルダーミスという創傷治癒材を移植しています。


 

歯の周囲に「動かない歯茎」が3mm程度形成されました。

付着歯肉増大

 

「動く歯茎」と「動かない歯茎」の必要論は論文によっても賛否両論ですが、①「動かない歯茎」がどうしても必要な場合があること、②「動かない歯茎」があることでブラッシングが行いやすく歯周組織が安定しメインテナンスを行いやすくなると考えています。

この手術は有茎歯肉移植術といいます。手術は15分くらいで完了しています。簡単な外科治療を行うことで「歯を長持ちさせる」ことが出来ればそんなに大変なことではないと考えています。

 

 

 


日本歯周病学会 歯周病専門医

渡辺歯科医院