月別アーカイブ: 12月 2017
181.デンタルフロスは重要!
歯周病治療にとって必須な「歯と歯の間の清掃」。しかしながら、日本では「デンタルフロス」や「歯間ブラシ」より「歯ブラシ」が重要視されています。
親が子供に対して、「歯磨きした?」と聞きます。歯科医も「歯ブラシは1日何回しますか?」と聞かれませんか?
歯周病は「歯と歯の間」から始まります。また虫歯も「歯と歯の間」から発生することが多いのです。
「歯と歯の間」の清掃は「歯ブラシ」ではできないのです。
アメリカのアニメで「おさるのジョージ」があります。
DVD「あんこう、ピカ」(発売元:ジェネオン・ユニバーサル・エンターテイメント)の回で次のセリフがあります。
黄色のおじさんが、ジョージのことをアインシュタイン博士に以下のように説明します。
黄色のおじさん:「George doesn’t know the meaning of give up.Or dental floss.」
これを日本語訳では、
「ジョージは諦めることをしらない。それと歯の手入れも。」
となっています。アメリカのアニメを日本語訳にするときに、日本では「デンタルフロス」が一般的に広まっていないから「デンタルフロス」を「歯の手入れ」と訳したのかなと思います。
逆にいえば、「デンタルフロス」はアメリカでは当たり前なんですね。
また、おさるのジョージの絵本(岩波書店)でも「デンタルフロス」が出てきます。子供向けの絵本でさえ「デンタルフロス」が出てくるのです。
ですから、子供のうちから、つまり乳歯列のときから「デンタルフロス」は重要ということになります。
5歳以上の子供たちを診ていると歯と歯の間、特に「D」と「E」の間の虫歯が頻発しています。この部位は歯ブラシではプラークは落ちませんし、一度治してもデンタルフロスを使わなければ再び虫歯になるでしょう。
当然、大人もデンタルフロスは使う必要があります。私は、①デンタルフロス、②歯間ブラシ、③歯ブラシの3種類を毎日使用しています。歯周病に罹患している患者さんはこの3つが必須になります。
私は何より「歯と歯の間」のプラークコントロールが重要と考えています。
来院された患者さんにしっかり説明していきます!
※デンタルフロス
日本歯周病学会 歯周病専門医
渡辺歯科医院
178.歯を半分残せ!(根分岐部病変)
学会の準備の追われ久しぶりの更新です。
患者さんの了解を得て載せています。
今回は根分岐部病変についてです。
歯周病治療で最も困難な治療が「根分岐部病変」です。根分岐部病変とは、歯根が2本以上ある場合に、歯根と歯根の間に歯周病が感染してしまうことをいいます。
歯周病が歯根と歯根の間に進行してしまうと治療がとても困難になります。
今回は、その根分岐部病変に対して、「分割抜歯」を行った症例です。分割抜歯とは、歯を1本丸々抜歯するのではなく、問題がある歯根のみ抜歯して、問題ない歯根は保存する方法です。
〇で囲んだ歯は歯根が複数ある歯です。問題ある歯根のみ抜歯する治療計画としました。
治療終了後4年です。問題なく経過しています。治療が終了してから歯周病が進行している患者さんは数カ月に一度来院されてブラッシング、虫歯、歯周ポケットの再発などを確認するのですが、この患者さんは治療終了から3年以上経過して来院されましたが、問題なく経過していたので、ホッとしました。歯間ブラシを使っていてくださったので、なんとかなったと思います。
このように、歯を1本丸ごと抜歯するのではなく、部分的に歯根を抜歯することも可能なのです。
日本歯周病学会 歯周病専門医
渡辺歯科医院