月別アーカイブ: 9月 2019

212. 根尖病巣の診断(CT撮影)

歯ぐきから膿が出ているという訴えで来院されたケースです。歯周病ではなく、根管内(歯根の管の中)の細菌感染です。

パノラマエックス線写真では、上の真ん中に膿の袋が見えます。しかしながら、2本の歯根が重なっていてどちらの膿かわかりません。

 

このパノラマエックス線写真をわかりやすく見てみると、赤〇が膿の袋で、④(オレンジ)と⑤(青)の歯根が重なっています。赤〇の膿は一体どちらの膿なのでしょうか。

 

このような場合、病巣の広がりを確認するためにCT撮影が有効になります。

CT撮影で確認してみます。

CT撮影の「横から見た面」では④と⑤ともに黒い影が見えます。CT撮影の「上から見た面」では、④の周りに黒い影が大きく見えます。

 

さらに、「前から見た面」で詳しく見てみましょう。④の歯根の周りの骨が吸収して無くなっています。⑤の歯根の周りの骨も少し吸収して骨が溶けていますが、これを見てもわかるようにこの「膿の袋」の原因歯は④であったことがわかりました。

 

やはり、CT撮影で得られる情報量は大きいため診断力がかなり向上しました。

原因不明の歯茎の腫れなどでお困りの方がいらっしゃいましたらお問い合わせ下さい。

 

日本歯周病学会 歯周病専門医

日本補綴歯科学会 専門医

渡辺歯科医院

 

211.歯の移植手術

金属が被っている歯(白く写っている歯)は神経がありません。この歯は2本の根(①および②)があります。しかしながら、①の根は割れてしまっています。通常の治療計画であれば①の根を抜歯して、②のみを残します。そして、②の根と奥の歯を削って、ブリッジを入れる治療となるでしょう。

 

そうなると、〇で囲まれた親知らずが下の歯と咬んでいないため、不要となり抜歯となります。

この場合、親知らずは抜歯するだけになり勿体ないのです。さらに、何でもない奥歯もブリッジの土台にするために削らなければならなくなります。

そこで、実際の治療は金属が入っている歯(白く写っている歯)の根(①および②の両方)を抜歯して、親知らずを移植しました。

 

親知らずを移植したことで、ブリッジにする必要がなくなり、奥の歯を削る必要もなくなりました。予後は良好で順調に経過しています。

このように、咬んでいない親知らずがあれば移植に有効です。

 

歯の移植に関心がある方がいらっしゃいましたらお問い合わせください。

 

日本歯周病学会 歯周病専門医

日本補綴歯科学会 専門医

渡辺歯科医院

210.インプラント CT撮影で安全に

本日行ったインプラント治療です。

患者さんに許可を頂いてアップしています。

パノラマエックス線写真で矢印部分の歯が欠損しています。ここに2本のインプラントを埋入する予定で治療を行いました。オレンジ線の部分が下顎管と呼ばれます。この中に太い神経線維や血管が走行しており、この位置までインプラントを入れてしまうと唇や歯の感覚麻痺がおこるため慎重に処置を行う必要があります。

 

パノラマエックス線写真では、この下顎管や骨の高さのおおよその位置は把握できますが、骨の中でどのように下顎管が走行しているのか詳細はわかりません。

そのため、術前にCT撮影が必要になります。CT撮影を行わなくてもインプラント治療は可能ですが、より安全に行うために必要であるといえます。

術後写真です。

 

左写真が前からの断層写真です。インプラント(真っ白に写っている部分)と下顎管(オレンジ矢印)には安全な距離が保たれています。右写真は横からの断層写真です。オレンジ線が下顎管です。インプラントと下顎管には距離があるため、問題なく2本のインプラントが埋入できました。

 

CT撮影を病院に依頼することなく当院で撮影できるようになり、より安全にインプラント治療が行えるようになりました。

インプラントは埋入することが全てではなく、歯周病菌に感染しないように術後の管理も重要です。私は歯周病専門医ですので、術後管理もきちんと行っていきます。

関心がある方はまたお問い合わせください。

 

日本歯周病学会 歯周病専門医

日本補綴歯科学会 専門医

渡辺智良

 

209.右上の歯の痛み(CT撮影)

数カ月前から右上の歯の痛みがあったとのことで来院。

歩く度に響いて痛いとのことで診察しましたが、虫歯もなければ神経を取った歯でもない。診断できないため、本人の希望によりCT撮影を行いました。

 

オレンジで囲まれた部分が鼻腔と交通している「上顎洞(副鼻腔)」です。右に大きな不透過像があり「上顎洞炎」であることが判明。

歯の痛みは。歯自体の問題がなくても痛みが生じる場合があります。

今回もCT撮影によってわかりました。

 

日本歯周病学会 歯周病専門医

日本補綴歯科学会 専門医

渡辺歯科医院

208. CTの導入

当院でCT撮影が行えるようになりました。

歯周病治療、根管治療、インプラント治療、親知らずの抜歯には欠かせないエックス線装置になります。

これにより診査・診断力が格段に上がりました。

今回根管治療の症例です。

3枚のレントゲン写真のち、左がパノラマエックス線写真(術前)、真ん中がデンタルエックス線写真(術前)、右がデンタルエックス線写真(術後)です。デンタルエックス線写真では、術前にあったオレンジ部分の黒い影が術後では消えています。

 

根管治療が成功したことを示します。

このデンタルエックス線写真は下写真のように、オレンジ矢印の方向にエックス線が透過した結果、レントゲン写真にその物体の集合体として「像」になって映るわけです。

 

これでも十分診断にはなりますが、さらに高度な診察・診断をするにはCT撮影が必要になります。

デンタルエックス線写真にて「治癒」と判断した症例ですが、CT撮影を行ってさらに診断します。下がCT画像です。

 

この歯は2本の歯根があります。左側が②の歯根の状態を、右側が①の歯根の状態を示します。それぞれ、「上の面」および「横からの面」です。オレンジ矢印部分の「黒い影」は確認できないため、根管治療により骨が再生したと考えられます。

次に、前から見た像になります。

 

①の歯根と②の歯根の状態が同時に見ることができます。②の歯根の先の黒い影は消失しており、この像でも骨の再生が確認できます。

歯科用CT装置は0.1mmでのスライス画像が可能になり、その断層面で診断が可能になりました。「上からの面」、「横からの面」、「前からの面」の断層撮影が可能になったため、詳しく診断ができます。

根管治療でなかなか成果が出ない場合など、複数あるうちのどの根管に問題があるかの診断、また病巣の広がりなど、デンタルエックス線撮影やパノラマエックス線撮影ではできなかった高度な診断が可能です。

CT撮影希望の方、詳しい診断をご希望の方など、またご相談ください。

 

日本歯周病学会 歯周病専門医

日本補綴歯科学会 専門医

渡辺歯科医院