月別アーカイブ: 11月 2015
135.歯周病治療に重要な冠の形態 その2
今回も歯周病治療と補綴治療の関係の説明です。
写真は歯周病治療後に補綴装置(ブリッジ)を装着しています。
※正確には、補綴治療(被せ物や義歯を扱う治療)も一連の歯周病治療に含まれます。そのため、歯周病治療と補綴治療を別物とする考え方はナンセンスで各々の治療に深い関連性が無ければならないと考えています。
このブリッジ、歯間ブラシが入りやすいように工夫しています。オレンジ部分の形態を平行にすることにより歯間ブラシ(赤矢印から歯間ブラシを挿入)によるプラークコントロールを行いやすくしています。
また、一番奥の歯は根が3本ある歯です。この症例の場合、オレンジ矢印部分の歯周病が進行し、「Ⅲ度の根分岐部病変」という状態になっています。※歯根(歯の根)の間に歯周炎が進行している状態を示します。
そのため、下写真のように②と③の根の間から歯間ブラシ(赤矢印の方向から挿入)を挿入して清掃が行えるように工夫しています。
被せ物の形態を工夫することで、患者さんのプラークコントロール(清掃)の効率を上げることはとても重要です。
日本歯周病学会 歯周病専門医
渡辺歯科医院
134.歯周病治療に重要な冠の形態
今回は歯周病治療に重要な冠(被せ物)の形態についての解説です。
歯周病治療は、歯周基本治療から始まり、歯周外科療法、そして補綴治療といって冠(被せ物)を被せてその後メインテナンスへと移行します。
折角、歯周病治療で成果が得られても装着した冠の形態不良によりブラッシングが行いにくくなれば台無しとなります。
下写真は術前および術後の冠を丸で囲んでいます。あまり違いはないように見えます。
では、レントゲンで比較します。
左(術前)と右(術後)では冠の豊隆に差があるのがわかります。当然、右(術後)の方が歯ブラシが行いやすい冠の形態といえます。特に、奥歯は歯ブラシが届きにくいため良好なプラークコントロールが行いにくいため、歯周ポケットが改善しにくい部位でもあります。
私たち歯科医はただ冠を被せるのではなく、術後に良好なプラークコントロールを行っていただくためにブラッシングを行いやすい形態の冠を装着することが重要になります。
奥歯の奥は、ワンタフトブラシがお勧めです。ヘッドが小さいためブラッシングが行いやすいです。
日本歯周病学会 歯周病専門医
渡辺歯科医院