月別アーカイブ: 4月 2012
19.抜かなければならない?
虫歯で残根状態(根だけ残った状態)の歯です。
歯を保存するかどうかは、口腔内(お口全体)の状況によります。抜いてしまったほうがいい場合もありますが、この場合は十分に保存することもできるのです。
この歯は、支持歯槽骨(歯を支えている骨)も十分あります。しかしながら、付着歯肉幅は少ない状況です。そのため、ただ単に歯肉をメスで切ってしまっては、付着歯肉がなくなってしまいます。そこで、付着歯肉ごと下方向に移動する方法があります。
それを歯肉弁根尖側移動術(骨整形も含める)といいます。歯肉を下に移動して歯を見えるようにしています。このようにすれば、歯に土台が立てられ、被せせることができます。
歯肉を下方向に移動しました。
土台を立てた後に冠を被せました。
歯を抜くかどうかは口腔内全体の状況によりますが、歯周外科処置(歯周病に対する外科処置)を行って保存する方法もあるのです。処置は10~15分くらいで行うことができます。
今回の症例写真は杉山貴志先生のセミナーより引用させていただきました。
渡辺歯科医院
日本歯周病学会 歯周病専門医
17.歯周病?
先日、成人歯科検診で歯周病が進行していると指摘され心配になり、当院に来院された患者さんがいらっしゃいました。
診査してみると、「歯周病」ではなく、「歯肉退縮」だったのです。
その違いはなんでしょうか?
歯周病(歯周炎)は、歯肉と歯の間の溝が深くなり歯周ポケットを形成し、支持歯槽骨が吸収していく疾患です。つまり、付着(歯と歯肉)の喪失が起こります。
歯肉退縮とは、歯肉は痩せていますが歯周ポケットは形成しません。そのため、歯周炎ではありません。付着歯肉幅(歯の周囲の動かない歯肉)が少ないために、歯肉が痩せているのです。
この場合は、以前のブログに示したように「根面被覆」といって歯肉を被せる処置も可能ですし、進行しまいようであれば、経過観察していくことも重要です。
渡辺歯科医院
日本歯周病学会 歯周病専門医