月別アーカイブ: 7月 2015
125.根面被覆 Harris法 その1
今回も歯肉退縮に対して行った歯肉結合組織移植術です。
ミラーのClass1の症例に対して歯肉結合組織を移植して両側歯間乳頭にてカバーしました。歯肉退縮した歯の両サイドに骨吸収が認められないため根面被覆の成功率は高いことが予想されました。
下写真です。オレンジ○部分に歯肉退縮(歯茎の痩せ)が認められます。
今回はHarris先生の方法(1992年)で歯肉結合組織移植術を行いました。以下、図解です。
口蓋から歯肉結合組織を採取し、移植した後、歯の両側の歯間乳頭の歯肉にてカバーしました。以下、術中の写真です。
予後です。良好に経過しています。
長い上皮性付着による治癒様式になっていることが予想されますが、経過良好です。
歯肉退縮(歯肉の痩せ)に関しましては、経過観察も重要な治療の1つであると考えています。それ以上歯肉が痩せなければ、わざわざ手術を行う必要もありません。進行してきているかどうかをよく観察し、手術を行うかどうか決めることが重要かと考えています。
手術は、ふつうに歯科のユニット(椅子)で行います。保険診療で行うことが可能ですし、1時間くらいで終了してお帰りになれます。
歯肉の痩せが気になる方はご相談ください。
日本歯周病学会 歯周病専門医
渡辺歯科医院
123.小学館コラムに掲載☆
小学館のコラム「ウーリス」に以下の記事が掲載されました。
是非ご覧になってください。
その使い方じゃ意味なし!歯科医が指摘「マウスウォッシュ」NG使用法3つ
歯科医が警告!歯周病の放置で「心臓病のリスク」が増大する理由とは
日本歯周病学会 歯周病専門医
渡辺歯科医院
122.痩せた歯茎に対する「歯肉の移植手術」
今回は前回と同じように同窓会で発表させていただいた内容に関してです。痩せた歯茎に対する「歯肉の移植手術」をご紹介します。
「右上の歯茎が痩せてきた」という主訴で来院されました。
下写真です。点線部分より歯茎が痩せています。歯と歯の間の骨吸収が無ければ、一度痩せた歯茎を再び歯に被せることができるといわれています。
下図がミラーの分類です。
Class1,2は歯と歯の間の骨吸収がなく、Class3、4は歯と歯の間の骨吸収があります。Class1,2は根面被覆(歯茎を再び被せること)の成功率は高いとされています。
今回の症例はミラーのClass1になります。また、歯肉退縮(歯茎が痩せること)が起きやすい分類としてMaynardの分類(下図)があります。
この分類は、骨も歯肉も薄いType4では歯肉退縮が起きやすいとしています。
今回の症例はLanger&Langer法(下図)にて根面被覆を行いました。
以下症例写真です。矢印にしたがって手術を行って行きました。切開し、歯肉を剥離・翻転してそこに口蓋より結合組織を採取し移植しました。
下写真が1ヶ月後です。今のところ1ヶ月後の予後しか追うことができていませんが良好に経過しています。周囲歯肉の厚みがあるために良好に経過しているものと考えられます。
歯列から飛び出している歯に関しては根面被覆はなかなか難しいです。また、炎症がある場合は行えませんので、ブラッシングで炎症のコントロールを行ってからになります。
歯茎の痩せが気になる方はご相談ください☆
渡辺歯科医院
日本歯周病学会 歯周病専門医