日本歯周病学会 歯周病専門医

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歯周病専門治療

治療1(歯周基本治療編)

1. 治療計画の立案(説明と同意)

まずは、痛みがある場合など緊急性のあるものから応急処置を行います。
その後、検査を行い、治療計画を立案します。歯周病治療は、この治療計画が最も重要といえます。

例えば、知らない土地に車で旅行するとします。地図がなくて目的地に到達するでしょうか?
行き当たりばったりの運転ではガソリンも消費しますし、疲れてしまいます。車の運転も、目的地を地図で把握して、細かい道案内はカーナビがあれば便利です。

治療計画は、まず歯周病治療のゴールを設定します。そして、最短距離でゴールへ向かうための治療順序などを決めていきます。治療のゴールは、歯周病菌によって崩壊された歯と歯肉の「付着」を取り戻し、歯周病が再発しない健康な歯茎を取り戻すことです。

2. 歯周基本治療

a. ブラッシング

まず、最も重要なのは歯周病の最大の原因と言われるプラーク、歯石を取り除き、歯肉の炎症の改善を図ることです。それには、まず患者さん本人と歯科医師・歯科衛生士が協力して治療に取り組むことが重要となります。

患者さん本人のケアは、日頃のブラッシングになります。歯間ブラシ、歯ブラシ、フロスを使って極力プラークを除去して頂きます。歯間ブラシ、歯ブラシ、フロスは日頃使っていても、磨き残しは思った以上にあるものです。当院で、患者さんに合った歯ブラシ、歯間ブラシをお勧めして、正しいブラッシング方法を説明致します。

我々歯科医院の仕事は、PMTC(プロフェッショナルメカニカルトゥースクリーニング)により普段のブラッシングでは落しきれないバイオフィルム(プラーク)の除去、超音波スケーラーによる歯石の除去(スケーリング)を行います。

b. スケーリング・ルートプレーニング

患者さん自身のセルフケアとして、歯間ブラシ、歯ブラシ、フロスによるブラッシングが最も重要となりますが、歯茎の中の歯肉縁下歯石は自宅では除去することが出来ません。患者さんのセフルケアはあくまでも、歯茎より上の部分で、歯茎の中のケアは歯科医院の仕事になります。いくら歯ブラシしても、白い歯石を取ってもらっても、歯茎がまた腫れてきたりするのは、歯茎の中に歯肉縁下歯石が残っているからなのです。

そのため、歯茎の中の歯肉縁下歯石を除去(スケーリング)して、根っこの表面を滑沢化(ルートプレーニング)する必要があります。この処置では、歯茎の中の器具が入りますので、通常は局所麻酔を行います。お口の中に全体的に歯周病がある患者さんでは4〜6回に分けてスケーリング・ルートプレーニングを行っていきます。

また、虫歯の治療、噛み合わせの調整、残らない歯の抜歯、歯磨きしにくい被せものの除去を「歯周基本治療」のなかで行います。抜歯は、どうしても残らない歯、抜いてしまった方が残りの歯が助かり全体として健康が保たれると判断した場合に行います。人は、「歯を抜かれる」となると嫌なものです。歯科医師も好きで抜歯する人はいないはずです。ただ、助かる見込みのない歯であれば、その歯を抜かないで残しておくことで、歯周病菌の巣が拡がってせっかく助かると思われた歯まで失うこともあります。とはいっても、抜歯は嫌なものですから、治療に慣れてきた時に抜いたり、同意が得られれば最初に抜いてしまったり、抜かないでスケーリングやルートプレーニングを行い歯周病菌を減らして対応する場合など状況によります。

患者さん自身のケア
 歯ブラシ、歯間ブラシ、フロスによるブラッシング(左下図)
 → 歯の表面(見える部分)の細菌を減らす。

歯科医院でのケア
 PMTC(プロフェッショナルトゥースクリーニング)、スケーリング、ルートプレーニング(右下図)
 → 歯の表面(見える部分)と歯茎の中(見えない部分)のバイオフィルムの除去を行う。

患者さんのケアと歯医者さんのお仕事

3. 再評価

歯周基本治療後に、一定期間おいて、その治療効果を判定するために再評価を行います。再評価では、歯周ポケットの測定、角化歯肉幅の測定、口腔内写真撮影、歯肉からの出血、歯の動揺、噛みあわせ診査を行います。

軽度の歯周病の場合、歯周基本治療で治ることが多く、その後、定期検診に移行します。しかし、歯周基本治療を行っても、深い歯周ポケットが残っている場合は必要に応じて歯周外科処置を行って行きます。

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