月別アーカイブ: 6月 2020

236.歯の移植から4年経過

オレンジ〇に囲まれた歯は重度の歯周病になっています。細菌感染によりオレンジ矢印部分の骨が溶けているのがわかります。青〇部分には2つの歯が重なっています。治療計画は、オレンジ〇の歯を抜歯した後に、青○の重なっている歯を移植する計画としました。

 

オレンジ〇の歯を抜歯した直後です。大きく骨が喪失してしまっています。感染が大きすぎる場合、抜歯した日には移植せず、後日移植します。

 

 

抜歯後2週間ほどで青○の歯を移植しました。移植直後の写真です。

 

 

移植から4年後の写真です。青矢印部分の骨が大きく再生しています。

 

 

感染していない歯根の表面には歯根膜という組織があります。その歯根膜が移植する際に生きていれば、他の部位に移植しても歯の周りには骨が再生するのです。

またお問い合わせ下さい。

 

日本歯周病学会 歯周病専門医・指導医

日本補綴歯科学会 専門医

渡辺歯科医院

 

235.親知らずの移植

今回も親知らずの移植のケースです。

赤×印の歯は歯根破折(歯根が折れている)しているため、抜歯となります。そこで、赤×印の歯を抜歯して、青〇の親知らずを移植する計画としました。

 

 

移植直後のレントゲン写真です。

この後、根管治療を行った後に冠を被せていきます。

 

 

移植から2年経過後の写真です。

移植後3ヶ月くらいは歯の動揺も見られましたが、現在は歯の動揺もなく良好に経過しています。

 

 

 

親知らずを抜歯する前に立ちどまってみます。移植に使えるかもしれません。

またご相談ください。

 

日本歯周病学会 歯周病専門医・指導医

日本補綴歯科学会 専門医

渡辺歯科医院

 

 

234.インプラント治療

今回もインプラント治療の紹介です。

私は、インプラント治療は適切に行えば大変有効な治療法の1つと考えています。

赤○部分は以前埋入したインプラントです。今回、青○部分の欠損部にインプラントを計画しています。

 

上顎には上顎洞という空洞があるため、黄色矢印の範囲内(骨がある部分)にインプラントを埋入する必要があります。骨を造成する方法もありますが、今回はこの範囲で2本のインプラントを埋入する予定としました。1本は10,72mmの骨幅に、もう1本は6.94mmの骨幅に埋入しなければならないため、9mmと6mmのインプラントを使用することにしました。

 

インプラント埋入直後の写真です。限られた骨幅にインプラントを埋入できています。

 

術後4年経過のレントゲン写真です。

インプラント周囲の骨も安定しており、良好に経過しています。

 

 

4年経過していますが今のところ良好に経過しています。予後が良好なことが最も重要なことと考えています。

インプラントが最良の治療法ではありませんが、入れ歯を回避できたため患者さんの満足度は比較的高いのではないかと考えています。しかしながら、インプラントは歯周病菌に感染し、インプラント周囲炎を起こす可能性があります。

当院は歯周病専門医ですので、歯周病の管理を行いながら無理なくインプラント治療を進めていきたいと考えています。

 

日本歯周病学会 歯周病専門医・指導医

日本補綴歯科学会 専門医

渡辺歯科医院

 

 

 

233.インプラント治療

今回もインプラント治療です。

インプラントは「歯周病菌」に感染し、「インプラント周囲炎」を起こす可能性があります。

歯が喪失した場合に、治療の第一選択肢としてインプラントありきではなく、「歯の移植(特に不必要な親知らず)」、「ブリッジ」、「入れ歯」を第一に考え、それで対応できない場合に「患者さんの希望」があれば、様々なリスクを説明した上で「インプラント」を選択すべきと考えています。

下写真です。①、②の部分が欠損しており③の歯は傾斜しています。この場合、③の歯も抜歯して3本のインプラントで連結冠を装着する治療計画が一般的であるかと思います。しかしながら、抜歯に抵抗がある場合には、③の歯に内冠という金属冠を被せた上で①、②、③を連結するという方向を選択しました。

 

インプラントと歯の連結は基本的には行いません。それは、クッションがある歯とクッションがないインプラントを連結することは良くないと言われているからです。そこで、今回のケースは上記の治療計画とし、③の歯に装着する内冠の上にインプラントとの連結冠(これはいざという時に取り外し可能)を装着する予定としました。

①のインプラント埋入後のCT写真です。パノラマレントゲン写真のみではインプラントが正しく埋入されたか確認できませんのでCT撮影を行います。きちんと骨の中央に埋入されたことが確認できます。

 

②のインプラント埋入後のCT写真です。これもきちんと骨の中に埋入されたことが確認できました。

 

3か月後にインプラントが骨と結合したことが確認できた後に連結冠装着予定です。

このブログは、「こんな治療法もあるんだ」と認知していただいたり、通院されている患者さんに見てもらえたり、同僚の歯科医に見てもらえれば良いかと思い患者さんの了解を得てアップしています。

インプラント治療も、その患者さんにとってよりベターな他の治療法があれば、それを選択すべきと考えています。それは、インプラントは手術することより、入ったインプラントを感染させずに咬み合わせを維持していくことの方がずっと困難であるからです。慎重に治療計画を立てる必要があります。

インプラント治療を希望されてお問い合わせいただくこともありますが、歯周病治療を優先しますし、咬み合わせに必要な虫歯治療を優先する場合もあり、直ぐにインプラント治療に辿り着かない場合がほとんどです。

歯周病専門医、日本補綴歯科学会専門医として「治療計画」をきちんと立案した上で診療を進めています。

またご相談ください。

 

渡辺歯科医院

日本歯周病学会 歯周病専門医

日本補綴歯科学会 専門医