日本歯周病学会 歯周病専門医

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歯周病専門治療

治療2(歯周外科処置編)

4. 歯周外科処置

歯周外科処置は、深い歯周ポケットが残っている部位などに行い、最も代表的な方法として歯肉剥離掻爬術(フラップオペレーション)があります。歯周基本治療で行うスケーリング・ルートプレーニングは、歯肉の中にキュレットという器具を入れて行いますので、器具が入りづらく感染した部分を全て取り除くのは難しいのです。

そこで、歯周外科処置を行い、確実に根っこが見える状態で感染した部分の掃除を行います。この方が確実に感染した部分を取り除くことができます。それでは、何故、歯周基本治療を行わず、いきなり歯周外科処置を行わないのか。それは、歯周基本治療で、炎症起因物質のプラークを徹底的に除去し、また歯茎の中の歯肉縁下歯石を徹底的に除去し、歯周病菌が極力減った状態で行わないと、この歯周外科処置は成功しないからなのです。

また、失った骨などを再生させる再生外科療法としてGTR法、自家骨移植、エムドゲインなどを行うことができます。さらに、歯肉が限局して退縮(歯茎が痩せること)した場合には、遊離歯肉移植術、結合組織移植術などの処置も行い、歯茎を被せることも症例によっては可能です。よく、「外科的に処置を行います」と説明すると、怖がられたりします。しかし、歯を抜くわけではありません。歯を残すために、歯茎についた汚れと歯の根っこの表面をツルツルにするだけで、抜歯よりも身体には負担が少ないのです。特に「親知らずの抜歯」を比較すると、比較にならないほど外科的侵襲は少ないです。

a. 歯肉剥離掻爬術

歯周ポケットが深く、歯周病が進行した場合におこなう手術です。歯肉を剥離し、見える状態でスケーリング・ルートプレーニング、歯肉の汚れた組織の除去、歯槽骨の整形を行い、歯肉を元の状態に戻して縫合します。処置が終わった後に歯周パックをして保護します。

b. 再生外科療法

1. GTR法

歯肉結合組織性付着(新付着)を目的とし、歯周炎によって失われた歯根膜、歯槽骨などの歯周組織を再生・誘導する手術です。

歯肉を切開・剥離して、見える状態でスケーリング・ルートプレーニング、歯肉の汚れた組織の除去を行い(ここまでは歯肉剥離掻爬術と同様の術式)、その後、特殊な保護膜(メンブレン:保険適応もあり)を歯根膜や歯槽骨が再生できるよう設置し、歯肉を元の状態に戻して縫合し、歯周パックをして保護します。

GTR法

2. 自家骨移植

歯周炎によって大きな歯槽骨の吸収(骨欠損)がある場合に、他部位から歯槽骨を採取し移植します。GTRと併用して行うと効果が大きいという報告があります。

自家骨移植

3. エムドゲイン

エムドゲインエムドゲイン法はスウェーデンで開発された歯周組織再生誘導材「エムドゲインゲル」を使用した再生療法です。エナメル器質タンパクを主成分とするエムドゲインゲルは歯の発生時に重要な役割をする蛋白質の一種です。エムドゲインを塗ることにより、失われた歯周組織の周囲に歯の萌出時と同様の環境を再現し、歯周組織の再生を誘導します。

c. MGS(歯肉歯槽粘膜形成術) 

歯肉が限局して痩せて、歯根が露出してしまった場合、他部位から歯肉を移植することにより健康な歯肉を回復させることができるようになりました。このMGS(歯肉歯槽粘膜形成術)を施すことで審美性の回復、プラークコントロールのしやすい口腔環境を作ることができます。
両隣りの歯の歯槽骨レベル、歯列からの位置など条件はあります。

結合組織移植術

5. 再評価

歯周外科処置後、一定期間が経過したら再び検査を行い、治療効果の判定を行います。

6. 定期検診

歯周病治療が一旦終了しても、その後3〜6ヶ月の定期検診を行い、PMTCによるバイオフィルムの除去、歯周ポケットの再発の確認を継続して行っていきます。

歯のクリーニングは必ず必要です。髪がのびたら美容院や理髪店に行くように、落としきれない歯の表面にあるバイオフィルム(プラーク)や歯石の除去を行いに来て頂ければと思います。

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