月別アーカイブ: 1月 2013

53.「歯周病治療」と「噛み合わせ治療」の同時進行は可能?

歯周病治療中に虫歯の治療はできるのでしょうか?

私は治療計画が重要であると考えています。何の治療を優先するか。

例えば、「歯周病」で支えている骨がどんどん吸収していくことが考えられれば、歯周基本治療(特にスケーリング・ルートプレーニング、ブラッシング)を優先します。しかし、噛むところが全然ないのに歯周基本治療(特にスケーリング・ルートプレーニング、ブラッシング)を優先していると長期間噛めなくなってしまします。

何でもそうであると思いますが、重要なのは「バランス」であると考えています。噛み合わせの治療を優先するのか、歯周基本治療で炎症を取り除くことを優先するのか、または同時に進めていくのか。

そこで、歯周病治療を行いながら噛み合わせもフォローしていく必要があります。そのため、暫間的に仮歯(テンポラリークラウン)を入れていき、噛めるようにしつつ歯周基本治療~歯周外科治療~被せ物の治療まで進めていきます。

そこで、今回は仮歯の製作をご紹介します。

左下写真は前々回のブログでご紹介した歯の土台(金属)が入っている状態です。歯科樹脂の粉と液を混和して塊にして、お口の中に圧接します。

 

 

左下写真は、お口の中に合わせた状態です。トリミングして歯の形にして装着しました。仮歯は仮のセメントで付けますので、必要に応じて外すことができます。この仮歯は歯科医にいろんな情報を与えてくれます。

 

 

仮歯から得られる情報から以下のことを考察します。

1.すり減り方で噛み合わせの特徴を推測する。

2.歯磨きがしやすい形になっているかどうか、樹脂を足したり削ったりしてその患者さんに合わせて調整する。

3.何回も壊れてくる場合、ブラキシズム(歯ぎしりや食いしばり)がないかどうかを推測する。

4.物が挟まりやすい、空気が漏れる、舌感が悪い、頬を噛むなどの不具合が出た場合に調整する。

☆虫歯の状態、噛み合わせの状態、歯周病の進行状況に合わせて治療計画を立てることが重要であると思います。

 

 

 

渡辺歯科医院

日本歯周病学会 歯周病専門医

 

52.歯磨きだけで歯周病は治る?

歯磨きだけで歯周病は治るのか?

歯周炎、つまり歯周ポケットが存在する場合、歯肉の中の歯面は汚染されています。この汚染物(歯肉縁下歯石、歯肉縁下プラーク)の除菌を行わなければ歯周炎は治りません。

歯周病菌が増殖する経路は2つです。①歯肉の上の細菌が歯肉の中に潜り込み増殖する経路。これに対しては歯科医院でのPMTC(歯の清掃)と患者さん自身のプラークコントロール(歯間ブラシ、歯ブラシ、フロスによる清掃)で細菌数を減らします。②歯肉の中の細菌自体が増殖する。これに対しては、スケーリング・ルートプレーニングといって歯の表面に付着している菌を除菌する必要があります。

以下の図を参考になさってください。

 

 

 

※歯科衛生士さん募集中です。電話でお問い合わせください。

 

 

渡辺歯科医院

日本歯周病学会 歯周病専門医

 

51.歯の土台とは?

歯の土台とは?

根の治療が終了した後に入れる芯棒のことです。以前は、差し歯といって「土台と被せもの」が一体となっているものがありましたが、現在は土台を入れた後に被せものを製作していく方法がほとんどです。

当院は保険治療では、歯の破折などのリスクを考え、主に下図の②のコンポジットレジンと金属の芯棒によって土台を作っています。

 

 

渡辺歯科医院

日本歯周病学会 歯周病専門医

 

50.トンネリング

 

術前と術後の違いは分かりますか?

 

この歯は、下顎第一大臼歯(下図:前から6番目の歯)です。特徴として根が2本(前から5番目の歯は根が1本)あります。つまり、噛み合わせの力を受け止める力も強いため、とても重要な歯といえます。

しかし、根が2本あるということは、根と根の間(根分岐部といいます)に歯周病が進行した場合はとても治りにくいという特徴があります。

写真の歯は根と根の間に歯周病が進行してしまい、さらにその部分に歯茎が被っていて磨けません。そこで、歯茎を下に少しずらして歯間ブラシが通るように調整しています。これを、トンネリングといいます。

お口の中は、お風呂場と同じで、清掃できない部分を絶対に作ってはいけません。お風呂場も清掃できない部分があればカビが生えてしまいます。

 

渡辺歯科医院

日本歯周病学会 歯周病専門医

Tel:0766-61-2002

 

 

49.喫煙と歯周病

喫煙は、歯周病の最大のリスクファクターです。タバコの煙にはニコチン以外に4000にも上る毒性、発癌性物質が含まれます。

喫煙者は非喫煙者に比べて2~8倍、歯周病に罹患しやすいことが報告されています。また、歯周病の治癒を遅らせます。

喫煙は、ニコチン作用により血管収縮をおこします。下図で示すように歯周組織には血管網が発達しており、感染に対して防御しています。喫煙は、微小血管系機能を低下させ、好中球やマクロファージの機能低下を起し、その結果治癒が遅れます。

また、喫煙は、歯周病菌に対する抗体産生が抑制されるなど免疫応答が変化してしまい、歯周病のリスクを高めることが報告されています。

1日の喫煙量も問題ですが、喫煙を行った期間も重要になるといわれています。つまり、禁煙を長期間続けていかなければなりません。

プラークコントロールを行い、細菌数を少なくすることも重要ですが、喫煙によって体の抵抗力を下げないようにすることが大切になります。

 

 

 

渡辺歯科医院

日本歯周病学会 歯周病専門医