月別アーカイブ: 10月 2011

5.未生流(個性盛花)

未生流の生け花です。

 

渡辺歯科医院

日本歯周病学会 歯周病専門医

4.歯周病の検査

歯周病の検査で何がわかるのでしょうか。歯周ポケット検査は何を意味するのか?

模式図は、正常な状態・歯肉炎・歯周炎を示します。正常な状態でも歯と歯肉の境目には溝があります。それは、「歯肉溝」といって正常な状態の溝です。その溝から湧水が出ています。その湧水を歯肉溝浸出液といいます。そこには、抗体や白血球など細菌に対して防御してくれる機構があるのです。

歯肉炎→歯周炎となると歯と歯肉の付着が損なわれるため、正常な状態の防御機構は損なわれた状態になってしまいます。そのため、歯周病菌は歯肉の中深くに侵入して骨吸収が始まります。正常な状態と比較して歯周炎では、歯周ポケットが深くなり、図のように骨吸収が起きていることが確認できます。

歯周ポケットが深い部分には、たいてい歯肉縁下歯石が根の表面に付着しています。これがある限り、歯周病は治りません。歯周病専門治療で使用する「キュレット」で除去していかなければ治りません。

写真は、歯肉縁下歯石を示します。この茶褐色の歯石が、歯肉の中の見えない根の部分に付いているのです。歯周病治療では、この歯肉縁下歯石を取り除いていかなければなりません。

渡辺歯科医院

日本歯周病学会 歯周病専門医

3.歯周病症例(主訴:下の歯の動揺が気になる)

53歳女性、下の歯の動揺が気になり来院されました。下の入れ歯は気持ち悪くて入れられないとのことで、上の入れ歯だけをを装着されていました。全体的に歯肉が腫れて自然に膿が出ている状況です。エックス線所見では、○印の部分の骨吸収像、深い歯周ポケットが認められます。

そこで、「治療計画」を立案します。オレンジの○印の歯は、根の先まで骨吸収があったため抜歯の計画とし、ブラッシング指導(歯間ブラシ、歯ブラシ)、スケーリング・ルートプレーニングを行うこととしました。歯周基本治療で重要なのは、炎症性因子のコントロール(細菌を減らすこと)と歯にかかる異常な力を取り除くこと(噛み合わせの調整)が重要となります。この症例の場合、炎症を抑えることも重要ですが、奥歯に噛み合わせがないため(入れ歯を装着していないため)前歯に負担がかかります。ですから、ブラッシング指導と同時に入れ歯(プラスチックの保険の入れ歯)を製作する計画としました。

その後、再評価(歯周病の再検査)を行い、青の○印と緑の○印部分に歯肉剥離掻爬術を行いました。

術後の写真を示します。歯周外科処置後に前歯の被せものをいれて、金属床の入れ歯を装着しました。エックス線でも改善が認められ、歯周ポケットも3mm以下に改善されています。炎症のコントロールとともに、入れ歯による噛み合わせを確立し前歯の負担を軽減したことが成功につながりました。歯周病治療を成功させるには、噛み合わせも重要なのです。

渡辺歯科医院

日本歯周病学会 歯周病専門医

 

2.歯周病症例(主訴:前歯の開きが気になる。)

52歳女性、上の前歯が開いていることが気になり来院されました。前歯の間が開き、歯肉が腫れています。エックス線撮影、歯周ポケットの検査を行っています。全体的に5mm以上の歯周ポケットが認められます。このような場合、開いてしまった歯を削って冠を被せてしまえば、解決するのでしょうか?それでは解決しません。見た目の問題を解決しても、歯肉の中の根が汚染されていれば、冠を被せて一時的に見た目が回復しても、また開いてきてしまいます。そこで「治療計画」を立案します。ホームページでも示したように歯周病治療に限らず、歯科治療は「治療計画」がとても重要になります。その治療計画は「歯周病治療」をベースとしたものでなければならないと私は考えています。

では、この症例の場合の「治療計画」はどうすればいいのでしょうか?

まずは、歯周基本治療である炎症性因子のコントロールを行います。患者さんに1.歯間ブラシ、2.歯ブラシ、3.ワンタフトブラシにてブラッシング指導、スケーリング(歯石をとること)、スケーリング・ルートプレーニング(歯肉の中の根に付いている歯石をとり、汚染した根をきれいにすること)、不良な被せものを外して仮の歯の製作、左上の一番奥の歯は保存できないため抜歯。その後、再評価をします。歯周病治療では、この「再評価」がとても重要になります。「再評価」は、再度、歯周ポケット検査、歯の動揺、噛み合わせの確認を行います。この時点で歯周ポケットが改善されれば、歯周病治療は経過をみながら、被せものの治療へと移行します。しかしながら、特に奥歯に関しては歯周基本治療だけでは歯周ポケットは改善しにくいのです。「歯周基本治療」は「原因除去療法」といいます。歯の表面のプラークの除去、歯肉の中の歯肉縁下歯石の除去、無理な噛み合わせの調整により歯周病の原因および悪化させている原因を除去します。これで治れば一番良いのですが、まだ歯周ポケットが残っている場合は、「歯周外科処置」へ移行するのが望ましいです。この症例の場合、奥歯に関しましては歯肉剥離掻爬術を施行しました。

術後の写真と、歯周ポケット検査です。気になって来院された上の前歯の開きは改善しています。これは矯正治療を行ったわけではありません。上の前歯に関しては歯周外科処置も行っていません。患者さん自身の歯間ブラシ、歯ブラシ、ワンタフトブラシによるプラークの除去と来院されて行った「スケーリング・ルートプレーニング」により炎症を起こしていた因子が除去され、歯が自然と元の位置に戻りました。炎症は、歯をも動かしてしまうのです。炎症が改善すれば、歯の動揺が改善し、歯が自然と元の位置に戻ってくることがよくあります。歯周基本治療をきちんと行い、炎症を起こしている原因を除去することが最も重要になります。歯周ポケットも全体的に3mm以下に改善しました。

渡辺歯科医院

日本歯周病学会 歯周病専門医

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