歯の痛みには、非歯原性疼痛というものがあります。
歯には異常が無いのにも関わらず「歯痛」と感じられるものをいいます。咀嚼筋の筋痛、三叉神経痛、狭心症、群発頭痛、急性上顎洞炎などが原因になります。
今回、「上の歯が痛い」という主訴で来院されたケースです。
パノラマX線写真です。
黄色〇の歯痛を訴えられました。しかしながら、赤矢印の「上顎洞」が真っ白に写っています。青矢印(反対側の上顎洞)と比較すると白いのが確認できます。この上顎洞、鼻腔とつながっているので、「副鼻腔」といいます。そのため、上顎洞に炎症がある場合、「上顎洞炎」といったり「副鼻腔炎」といったりします。
詳しく診断するためにCT撮影を行いました。
赤矢印と青矢印を比較します。上顎洞は、本来であれば空洞で「黒く」写るはずですが、赤矢印部分は「白く」写っています。「上顎洞炎」と診断しました。CT画像において、歯とは関係がないことが確認できたので、「耳鼻咽喉科」へと紹介になりました。
日常臨床でも「非歯原性疼痛」は、よく見受けられます。咀嚼筋である「咬筋」の痛みは頻度が多く、頬から咬筋に直接注射する方法をとることが多いです。咬筋痛も歯痛と間違って来院されることが多いです。
またご相談ください。
渡辺歯科医院
日本歯周病学会 歯周病専門医
日本補綴歯科学会 専門医