月別アーカイブ: 9月 2012

30.本治と標治

漢方では病気の原因に対処することを「本治(ほんち)」と呼び,その原因によって生じる症状を治療することを「標治(ひょうち)」と区別しています。

歯周病治療では、「原因除去療法」=「本治」、「対症療法」=「標治」を意味します。

歯周病治療でいう「原因除去療法」とは、プラークを取り除くこと、つまり除菌することを示します。歯茎の中の除菌は歯科医院の作業で、歯茎より上の除菌は患者さんと歯科医院の共同作業となります。

例えば、症状軽減のために膿を出すだけでは、「対症療法」となります。膿を出しても、原因が残っていればまた膿んできます。

また、噛めないのでインプラントをしたいという主訴で来院されたとします。しかし、歯周病が原因で歯が抜けたとします。その抜けた場所にインプラントを入れても歯周病菌に感染してしまします。

歯が抜けた原因が何かを診断し、原因除去を行わなければ、主訴を解決できない場合も多くあるのです。

 

原因除去を行った上うえで、治っていない場合に修正治療(被せもの、インプラント、矯正治療、歯周外科治療)を行います。大切なのは、まずは「原因を除去」することです。

 

 

渡辺歯科医院

日本歯周病学会 歯周病専門医

 

 

 

 

 

29.歯周病の原因はプラーク

虫歯や歯周病はバイオフィルム感染症です。

バイオフィルムとは、細菌と細菌が分泌する粘々した多糖体といい、歯に強力に付着するため、ご自宅での歯ブラシではなかなか取り除くことができません。

 

当院では、機械的・化学的清掃でバイオフィルムを取り除いています。

 

では、この綺麗な状態はいつまで続くのか?虫歯や歯周病菌の細菌叢(細菌の集落)は、清掃しても、3か月(12週)で元に戻ると言われていますので、3~6か月に一度、清掃しにいらっしゃるのがベストです。当院できれいに取り除きます。

 

渡辺歯科医院

日本歯周病学会 歯周病専門医

 

28.動かない歯肉を獲得するために

「動かない歯茎」と「動く歯茎」があることは前回に御紹介しました。

歯肉の健康をきちんと管理していくには「動かない歯茎」いわゆる「付着歯肉」が天然歯より必要になるため、付着歯肉幅が足りない場合は上顎から角化歯肉を移植して環境を整える場合があります。これを遊離歯肉移植術といいます。

 

この写真の患者さんは、深い歯周ポケットがあり、歯肉剥離掻爬術を行い歯周ポケット内の掃除をしたいのですが、「付着歯肉」=「動かな歯茎」が少ないため行えません。そこで、先に付着歯肉を作ってから歯肉剥離掻爬術を行うことになりました。

 

術前~術後写真です。

遊離歯肉移植後に歯肉剥離掻爬術を行う予定していましたが、付着歯肉が獲得され歯肉の環境が整ったため、歯周ポケットは改善しました。

 

 

渡辺歯科医院

日本歯周病学会 歯周病専門医

 

27.ブラッシングを邪魔する小帯

歯の周りの歯肉を触ると「動かない歯茎」と「動く歯茎」があります。

写真の矢印部分に頬小帯が発達していることからプラークが除去できず、歯ブラシ、歯間ブラシが上手く当たらないため歯周病が進行してしまいます。

 

 

 

 

歯肉の健康をきちんと管理していくには「動かない歯茎」いわゆる「付着歯肉」が天然歯より必要になるため、付着歯肉幅が足りない場合は上顎から角化歯肉を移植して環境を整える場合があります。これを遊離歯肉移植術といいます。(※付着歯肉が少ない場合でも歯肉の健康が維持される場合ももちろんあります。)

 

術前(上写真)、術後(下写真)の比較です。

 

 

 

 

 

歯肉の移植を行い、環境が整いました。「動かない歯茎」=「付着歯肉」の存在はとても重要です。

 

 

 

渡辺歯科医院

日本歯周病学会 歯周病専門医