今回は親知らずの移植治療についてです。
※患者さんの許可を得てアップしています。
⑧が親しらずです。この⑧のせいで⑦が歯周病に罹患し、12mmの歯周ポケットができてしまいました。その結果、⑦の奥側の骨(歯槽骨)は吸収しています。
その原因は親知らずの生え方によります。親知らずが斜めに生えてしまったせいで、⑦の奥側にプラークが溜まって歯周炎を引き起こしてしまっているのです。
この場合、⑧を抜歯しても⑦の奥側の骨は吸収したままになり、⑦も⑧も共倒れになることが予想されました。
そこで、⑦を抜歯して⑧(親知らず)を移植する計画にしました。
移植直後の写真です。
移植後2年以上経過した写真です。
赤の矢印部分に骨が再生していることが確認できます。
なぜ骨が吸収してしまった部分に骨が再生するのでしょうか。それは、移植した親知らずの周りに厚さ30ミクロンの薄い歯根膜という組織があります。それが下写真です。赤くなっている部分が歯根膜です。ここに「歯根膜細胞」があります。歯根膜細胞は骨芽細胞という細胞に分化して、周囲に骨を再生させるのです。
この歯根膜があるからこそ失われた骨が再生するのです。
下は模式図です。
今回も親知らずの移植ですから保険診療で行いました。親知らずを抜く前に、ご相談下さい!大事な親知らずかもしれません。
日本歯周病学会 歯周病専門医
日本補綴歯科学会 専門医
渡辺歯科医院