難しい内容です。
「動かない歯茎(角化歯肉)」VS「動く歯茎(歯槽粘膜)」
歯の周囲には「動かない歯茎(角化歯肉)」の存在が歯周組織の健康維持のために有益と考えられています。
前回紹介した遊離歯肉移植術は、「動かない歯茎(角化歯肉)」を「動く歯茎(歯槽粘膜)」へ移植し、「動く歯茎(歯槽粘膜)」を「動かない歯茎(角化歯肉)」に変えてしまう治療です。
下図は「動かない歯茎(角化歯肉)」の模式図です。結合組織に「コラーゲン線維」があるから遺伝的に上皮は「角化」します。コラーゲン線維があることで「動かない歯茎」ができる上に、感染や外的刺激に強い「角化上皮」ができます。
それでは、①動かない歯茎(角化歯肉)の上皮―結合組織を一体にした組織を「動く歯茎」に移植した場合と(下図の上)、②動かない歯茎(角化歯肉)の上皮のみを「動く歯茎」に移植した場合(下図の下)では一体どうなるのか?
①の場合は、移植されたことで動く歯茎は動かない歯茎に変化しますが、②の場合は、動く歯茎は動く歯茎のままになり変化は見られません。このことで上皮が角化するか、角化しないかは、「上皮下の結合組織」が決めていることになるのです。
組織学的にはこのような解説になります。
下写真のように動く歯茎が動かない歯茎に変化しているのは、組織学的には上記の説明になるわけです。
日本歯周病学会 歯周病専門医
日本補綴歯科学会 専門医
渡辺歯科医院