前々回、角化歯肉が重要であるというテーマのブログでした。
その角化歯肉を獲得する方法で最も確実な方法は遊離歯肉移植術になると思います。今回のブログは、その移植した歯肉がどのようにして治癒するのかというテーマです。以下遊離歯肉移植術の写真です。
Lindhe先生の臨床歯周病学とインプラントを改変して説明します。Lindhe先生は遊離歯肉移植術の治癒を3つのステージに分けています。
①初期(0~3日)initial phase
移植片と移植床との間に、移植床からの血管を介さない“血漿循環plasmatic circulation”により生活状態を保つと説明しています。下図解しています。
②血管再生期(2~11日)revascularization phase
治癒の4~5日後、移植床と移植片の血管吻合が確立。移植した組織に血管循環が確立します。
③組織成熟期(11~42日)tissue maturation phase
この期間中、移植組織中の血管の数は徐々に減少しはじめ、約14日後には移植片の血管系は正常に戻る。また上皮は、この治癒過程の間に徐々に成熟すると解説しています。
この手術後は、コーパックというガムのようなもので手術部位をカバーします。そのため、食物などによる機械的刺激が加わらないようにします。また、1週間後に抜糸を行います。コーパックさえ外れなければ(特に初期の0~3日が重要)痛みもさほどありません。3週間くらいすると普通にブラッシングも行うことができます。この手術も保険適応です。3回目の歯周病検査以降に行うことが可能です。
日本歯周病学会 歯周病専門医
渡辺歯科医院