今回は歯周病治療で起こった変化についてご紹介します。
患者さんは、歯肉からの出血と歯の動揺を訴え来院されました。左が術前、右が術後の写真です。
最大で歯周ポケットが9mmあった患者さんですが、ブラッシング指導とSRPのみで治癒に向かいました。使用していただいている清掃道具は、歯間ブラシ、ワンタフトブラシ、歯ブラシ(子供用かたさふつう)です。特別な歯周外科療法などは行っていません。
私は大学病院勤務時代より深い歯周ポケットに対してはほとんど歯周外科療法を勧めてきましたが、珍しく非外科療法のみで改善した症例になります。
歯周病治療における外科療法は、来院されていきなり行う訳ではありません。まずは、ブラッシング指導、PMTC(歯科医院で行う機械的歯面清掃)、SRPなど口腔内細菌数を減らす処置を行います。その後、歯周ポケットの深さを再度測定します。そのことを、「再評価」と言います。
再評価した時に、深い歯周ポケットがなくなっていれば、わざわざ歯周外科療法を行う必要はないのです。しかしながら、奥歯で歯周ポケットが6mm以上あると、なかなか非外科療法だけで改善するのは難しいのです。
変化1 矢印部分の炎症が改善したことが確認できます。歯肉の赤みがなくなりました。
変化2 矢印の部分(①と②)の間に術前初診では隙間があります。しかし、炎症が消褪すると病的に移動していた歯が元の位置に戻っています。歯周病治療をやっていると、よくあることです。矯正治療を行ったわけではありませんが、歯が自然に定位置に戻りました。
治療を進めていくと様々な変化が観察されます。レントゲン、咬みあわせ、歯の位置、歯の動揺、歯肉からの出血など様々な変化を見逃さず、評価することが重要と思います☆
日本歯周病学会 歯周病専門医
渡辺歯科医院