歯周病治療中に虫歯の治療はできるのでしょうか?
私は治療計画が重要であると考えています。何の治療を優先するか。
例えば、「歯周病」で支えている骨がどんどん吸収していくことが考えられれば、歯周基本治療(特にスケーリング・ルートプレーニング、ブラッシング)を優先します。しかし、噛むところが全然ないのに歯周基本治療(特にスケーリング・ルートプレーニング、ブラッシング)を優先していると長期間噛めなくなってしまします。
何でもそうであると思いますが、重要なのは「バランス」であると考えています。噛み合わせの治療を優先するのか、歯周基本治療で炎症を取り除くことを優先するのか、または同時に進めていくのか。
そこで、歯周病治療を行いながら噛み合わせもフォローしていく必要があります。そのため、暫間的に仮歯(テンポラリークラウン)を入れていき、噛めるようにしつつ歯周基本治療~歯周外科治療~被せ物の治療まで進めていきます。
そこで、今回は仮歯の製作をご紹介します。
左下写真は前々回のブログでご紹介した歯の土台(金属)が入っている状態です。歯科樹脂の粉と液を混和して塊にして、お口の中に圧接します。
左下写真は、お口の中に合わせた状態です。トリミングして歯の形にして装着しました。仮歯は仮のセメントで付けますので、必要に応じて外すことができます。この仮歯は歯科医にいろんな情報を与えてくれます。
仮歯から得られる情報から以下のことを考察します。
1.すり減り方で噛み合わせの特徴を推測する。
2.歯磨きがしやすい形になっているかどうか、樹脂を足したり削ったりしてその患者さんに合わせて調整する。
3.何回も壊れてくる場合、ブラキシズム(歯ぎしりや食いしばり)がないかどうかを推測する。
4.物が挟まりやすい、空気が漏れる、舌感が悪い、頬を噛むなどの不具合が出た場合に調整する。
☆虫歯の状態、噛み合わせの状態、歯周病の進行状況に合わせて治療計画を立てることが重要であると思います。
渡辺歯科医院
日本歯周病学会 歯周病専門医