今回は前回と同じように同窓会で発表させていただいた内容に関してです。痩せた歯茎に対する「歯肉の移植手術」をご紹介します。
「右上の歯茎が痩せてきた」という主訴で来院されました。
下写真です。点線部分より歯茎が痩せています。歯と歯の間の骨吸収が無ければ、一度痩せた歯茎を再び歯に被せることができるといわれています。
下図がミラーの分類です。
Class1,2は歯と歯の間の骨吸収がなく、Class3、4は歯と歯の間の骨吸収があります。Class1,2は根面被覆(歯茎を再び被せること)の成功率は高いとされています。
今回の症例はミラーのClass1になります。また、歯肉退縮(歯茎が痩せること)が起きやすい分類としてMaynardの分類(下図)があります。
この分類は、骨も歯肉も薄いType4では歯肉退縮が起きやすいとしています。
今回の症例はLanger&Langer法(下図)にて根面被覆を行いました。
以下症例写真です。矢印にしたがって手術を行って行きました。切開し、歯肉を剥離・翻転してそこに口蓋より結合組織を採取し移植しました。
下写真が1ヶ月後です。今のところ1ヶ月後の予後しか追うことができていませんが良好に経過しています。周囲歯肉の厚みがあるために良好に経過しているものと考えられます。
歯列から飛び出している歯に関しては根面被覆はなかなか難しいです。また、炎症がある場合は行えませんので、ブラッシングで炎症のコントロールを行ってからになります。
歯茎の痩せが気になる方はご相談ください☆
渡辺歯科医院
日本歯周病学会 歯周病専門医