インプラントは、天然歯と異なり歯根膜からの血液供給もない上に歯肉結合組織の付着様式も異なることから感染防御機構が弱いため、インプラント周囲の歯肉の環境を整えておかなければインプラント治療は成功しません。
歯の周りの歯肉を触ると「動かない歯茎」と「動く歯茎」があります。インプラントをきちんと管理していくには「動かない歯茎」いわゆる「付着歯肉」が天然歯より必要になるため、付着歯肉幅が足りない場合は上顎から角化歯肉を移植して環境を整える場合があります。
下写真をご覧ください。
左が術前写真、右が術後の写真です。どちらがインプラントを埋入しやすいでしょうか。それぞれ動かない歯茎の幅を示していますが、術前と術後写真ではその幅は明らかに違います。
当然右写真(術後)の方がインプラントを埋入しやすいのです。
そこで、下写真のようにインプラント治療を行う前に、口蓋より角化歯肉(粘膜)を移植して環境を整えました。口蓋にはコラーゲンを移植して創傷部をカバーしています。
せっかくインプラント治療を選択するのであれば、インプラントを長く持たせていただきたいと思います。それには、ただでさえ天然歯より条件が悪い環境な訳ですから、前準備をしっかりおこなって環境を整えておいた方がより長持ちするはずです。この処置は局所麻酔下で40分~1時間くらいで終了します。処置後、2ヶ月くらいで、インプラントの埋入を行います。
歯茎の痩せた方でインプラント治療を希望の方はご相談ください。
日本歯周病学会 歯周病専門医
渡辺歯科医院